【薬学部&建築学科】尾道の歴史にふれる講演会

尾道市高須町にある福善寺において、5月3日に尾道市や尾道市教育委員会の後援を受けて地域の歴史に係わる講演会が行われました。その様子について、杉原教授からの報告です(投稿は五郎丸です)。

 


講師は本学工学部教授の藤原 美樹氏と尾道市文化振興課学芸員の西井 亨氏でした。藤原 美樹氏の講演のテーマは「松尾山城に付随する居館の空間構成と生活の実態について」、西井 亨氏のテーマは「杉原信平・為平兄弟と足利尊氏」であり、中世の尾道市の歴史に係わるものでした。

藤原 美樹氏

西井 亨氏

山口県文書館に国の重要文化財に指定された「高洲家文書」が寄託されています。「高洲家文書」には備後地方の歴史に関する古文書が多数含まれており、その一つに高須杉原氏の居城であった松尾山城跡の絵図とそれに糊付けされた居館の間取図があります。藤原教授の講演内容は、その居館の調査研究を松尾山城と同年代と推定される建造物に関する文献を参考に行い、松尾山城に付随した居館をCGで再現した研究成果についてでした。この調査研究は藤原教授の指導の下、2024年度卒業生の入江智貴君(本年4月よりタカオ㈱へ勤務)が取組み、卒業論文として発表したものです。

備後の尾道市や福山市は室町幕府を興した足利尊氏と深い繋がりあります。700年前の時代に遡りますが、「足利は鞆に興り、鞆に滅ぶ」と喩えがあるように、日本の歴史の転換がこの備後で繰り広げられました。足利尊氏は「錦の御旗」である院宣を鞆の浦で受け取りました。続いて、九州に下向する足利尊氏は、途中、尾道市にある浄土寺に参詣し、戦勝祈願を行いました。この浄土寺で足利尊氏の旗下となったのが杉原信平・為平兄弟であり、松尾山城城主の先祖になります。西井学芸員は、尾道市の歴史と足利尊氏の関りについて講演してくださいました。

この講演会では山口文書館から許可を得て「高洲家文書」の中から10点余りの古文書の写真展示も行いました。講演会や古文書の展示は、地域の方々に郷土の歴史を知って頂く機会になりました。天候にも恵まれ、本講演会には地元の方々が多数参加してくださいました。地元の古い歴史を知ることができてよかった、講師の方々の話はとても興味深くて面白かった、などの感想が多くの参加者から寄せられました。この講演会は、尾道ケーブルテレビで5月19日~26日の期間、112チャンネルで19時から放映されますので、さらに多くの方々が視聴してくださり、郷土の歴史への理解が深まることを願っています。

薬学部教授 杉原成美 (高須杉原会代表)

 

学長から一言:尾道市の福善寺で開かれた講演会は、地元尾道の松尾山城跡や中世の建築物に関する建築学的研究成果や関連古文書の解説を通して、参加者が地域の歴史に浸る絶好の機会となったようです。研究室の研究成果を携えて支援の工学部建築学科の藤原教授、そして、この地域に先祖代々ゆかりの深い薬学部の杉原教授と、本学関係者の全面協力の下、講演会はきっと大盛況だったことでしょう。